先日、「第34回全国まちづくり会議inみやぎ」が、仙台国際センター近くの「仙臺緑彩館(せんだいりょくさいかん)」で開催されました。
建築やまちづくりに携わる身として、まず目を引いたのがその所在地です。
宮城県仙台市青葉区川内追廻無番 (かわうち・おいまわし・むばん)
この住所、響きだけでもなかなかの「味」がありますよね。
「川内」は仙台城跡(青葉城)の麓に広がる、言わずと知れた歴史的エリア。 続く「追廻」という名は、かつてこの地にあった馬場での馬術訓練――つまり「馬を追い回す場所」であったことに由来するそうです。
そして興味深いのが、末尾の「無番」。 文字通り番地が付かない区域を指しますが、これは一帯が「青葉山公園」として特殊な整備が進められている区域ゆえの呼称です。数字の代わりに歴史と公の役割が刻まれた、なんとも粋な住所です。
さて、ここからは例によって専門的な会議の話を……ではなく、お昼時の「脱線話」を少々。
会場となった緑彩館の中にあるカフェ 『noaddress(ノーアドレス)』 での出来事です。 その日はタイトなスケジュールで、近隣に飲食店も少ないため、迷わず館内のカフェを選んだのですが……メニューを見て少し手が止まりました。
看板メニューの「仙南せりバーガー」、単品で約1,300円。 ポテトとドリンクのセットにすれば、2,000円を超えてきます。
地元の人気店「やくらいジンギスカン」の定食が1,300円、こだわりのラーメンセットが1,500円ほどで食べられるなかで、「ハンバーガーに2,000円か……」 というのが、正直な第一印象でした。
しかし、移動の時間も惜しい。意を決して注文し、窓外に広がる広瀬川の緑を眺めながら待つことにしました。
しばらくして運ばれてきたのは、太い串がどーんと突き刺さった、圧倒的な存在感を放つバーガー。
意を決して串を抜き、専用のペーパーに包み直してかぶりついた瞬間、私の脳内に映画『パルプ・フィクション』の名シーンがリフレインしました。
「シェイクが5ドルだって?」 「……こいつはうまい。5ドルは高いが、それだけの価値がある!」
まさに、あの感じです。 地元の名産である「せり」の風味、パティの肉肉しさ、そして全体を包むボリューム。 ファストフードの延長線上にある1,000円のバーガーとは、そもそも設計思想が違うのだと思い知らされました。
「2,000円取るだけのうまさ」が、そこには確かにありました。
設計の仕事も同じかもしれません。 一見すると「高い」と感じられるものも、そこに込められた手間や素材、そして体験の質が伴っていれば、最後には「ちゃんとお金を払って良かった」という納得感に変わります。
久々に、自分の価値観を良い意味で裏切られた心地よい昼食でした。
皆さまも仙台城跡の散策ついでに、この「無番地」の絶品バーガー、一度設計(構築)された味を確かめてみてはいかがでしょうか。