約1か月ぶりの更新になりました。
この間、父の入院と手術があり、病院への付き添いやお見舞いなどが続いて、なかなかブログを書く気持ちになれませんでした。
幸い、昨日無事に退院し、ようやく少し落ち着いてきました。
そんなタイミングで、自分自身も現場で設計監理に関するやり取りがあり、「工事監理」と「工事管理(施工管理)」の違いについて改めて考える機会がありました。
建築業界では当たり前の言葉ですが、実は役割は大きく異なります。
今回は、その違いと、設計監理という仕事のリアルについて書いてみたいと思います。
「工事監理」と「工事管理(施工管理)」。
建築業界では当たり前に使われる言葉ですが、一般の方だけでなく、建築を学び始めた人でも混同しやすい言葉です。
名前はよく似ていますが、役割はまったく異なります。
そして、この違いを知ると、「設計者の仕事は図面を描くだけではない」という現実も見えてきます。
工事監理は、設計者や建築士が行う業務です。
役割は、工事が設計図書どおりに施工されているかを確認すること。
具体的には、
などを行います。
重要なのは、工事監理者は工事を指揮する立場ではないということです。
「設計どおりに施工されているか」を確認し、品質を確保することが仕事です。
一方、工事管理(施工管理)は施工会社の仕事です。
こちらは現場全体を管理します。
主な業務は、
など。
現場を予定どおり進め、建物を完成させることが使命です。
設計者は「チェックする側」という印象を持たれがちですが、実際の現場では設計者が施工側から指摘を受けることも少なくありません。
例えば、
「この納まりでは施工できません。」
「配管が通りません。」
「図面どおりでは現場で組み立てられません。」
といった施工性に関する意見です。
逆に設計者も、
「図面どおり施工してください。」
「勝手に仕様を変更しないでください。」
「品質基準を満たしていません。」
と施工会社へ是正を求めます。
立場が違う以上、意見がぶつかること自体は、ごく普通のことです。
設計監理というと、図面を確認する仕事を想像するかもしれません。
しかし実際には、
など、人とのコミュニケーションが非常に多い仕事です。
しかも、それぞれ立場や優先順位が異なります。
設計者は品質や法令を重視し、施工管理者は施工性や工期、安全性を重視します。
その間に立って調整することも、設計監理の大切な役割です。
建物が完成すると、完了検査が行われます。
設計者が立ち会うことも多く、
「是正事項はないか。」
「図面どおり施工されているか。」
「必要な書類はそろっているか。」
など、最後まで気を抜けません。
設計監理は、建物が完成するまで責任を持つ仕事なのです。
設計が好きだから建築士を目指したものの、実際には現場対応や調整業務の多さに驚く人は少なくありません。
現場との調整、施主対応、検査への立会いなど、図面を描く時間以上にコミュニケーションが求められる場面もあります。
もちろん、経験を積めばスムーズに対応できるようになりますが、精神的な負担を感じる人がいるのも事実です。
建築士の仕事は設計監理だけではありません。
法令確認や確認申請を中心に業務を行う建築士もいます。
確認申請は法令知識や正確性が求められる仕事ですが、現場との直接的な調整は比較的少ないため、「こちらのほうが自分に向いている」と感じる人もいます。
建築士だからといって、全員が同じ働き方をする必要はありません。
得意分野を活かしながら専門性を高めることも、立派なキャリアです。
工事監理と工事管理は、一文字違いですが役割は大きく異なります。
そして設計監理は、図面を確認するだけの仕事ではありません。
現場との調整、品質の確認、検査への立会いなど、多くの人と関わりながら建物を完成へ導く仕事です。
時には厳しい意見を受けることもあります。
しかし、それは設計者と施工会社が対立しているからではなく、より良い建物をつくるために、それぞれの専門的な立場から意見を交わしているからです。
建築は一人では完成しません。
設計者、施工管理者、職人、施主、そして検査機関。それぞれが役割を果たし、協力することで、安全で品質の高い建物が生まれるのです。